2011年10月29日~30日
会のメンバー9人で小川山合宿。初めて訪れた国内屈指の岩場はスケールがでかすぎて、意味がわかんない。トポによるとルートは700本以上とか。5年ぐらい余裕でキャンプできる。1泊2日では全然足りなかったが、気心知れたメンバーで、楽しい時間を過ごせた。
1日目(晴れ)
初日は3人ずつに分かれ、尾根岩でマルチピッチ。2パーティは2峰の「セレクション」へ、私はKB姐さんと新人のスギさんで3峰に向かった。「レモン」と「神奈川」で迷っていたが、同時に取り付きに到着した別パーティが「レモン」に登るということで、「神奈川」に決定。
1P目は同ルートなので、先行してもらい、待っている間に、なんの説明も無いまま、連れてこられて戸惑うスギさんに、形式だけの詫びを入れる。スギさんは外岩でリードクライミングがやりたくて、半年ほど前にジムに通い始め、外岩に行くきっかけを求めて1月ほど前に入会した。登山はやったことないし、今後やる気も無い。小川山合宿に参加したのも、シングルピッチのリードクライミングがやりたいからであって、マルチなんて完全に想定外だったが、発言の機会すら与えられずに黙殺された。わけもわからぬうちに取付までの慣れない山歩きを強いられ、出発前に誰も何も教えないから、水分を一切持ってきておらず、登る前から遭難していた可哀相な人に、とびきりの笑顔でごめんなさい。
せっかくなのでスギさんにもリードで登ってもらおうと思ったが、即席で確保支点の作り方とフォローのビレイを教えても、姐さんと私のどちらが先に登るかで、本気で揉めそうだったので、今回は全ピッチセカンドで登ってもらい、まずはマルチピッチの素晴らしさ、楽しさを感じてもらう、ということにした。もちろん話の流れがわからないスギさんは無視して2人で決めた。
1P目の易しいフェースをリードで登る。雲ひとつ無い秋空が気持ちいい。
易しくても1本目は緊張する。
2P目を姐さん。出だしがちょっと被っていて、高度感もあって怖いが、心臓が毛でもじゃもじゃの人は臆することなく登っていった。スギさんも、日頃からジムで登っているので、全く問題なくついてくる。
2P目。安易、安直なポーズで。
3P目はチムニー。まあ頂きでしょう!と気軽に取り付いたが、体にジャストサイズすぎて身動きとれず。全身を岩にこすりつけ、摩擦で這い上がる。カード引き落としの済んでいない上着が破れてへこんだ。空身だったので力技で登りきったが、案の定、ザックを背負ってくる後続のスギさんがチムニーに詰まって動けなくなったようで膠着状態。ビレイ点から下は見えないが、姐さんが何やら頑張っている。先に登ってしまえば気楽なもので、2峰の「セレクション」を登りきったメンバーに声をかける。
私「おーい」
2峰「おーい」
姐「何か言ったー
」
私「なーんでーもな~い
」
2峰のガッキー兄さん。三歩みたいなポーズです。
2峰から見た3峰の私。探してみてね。
いつまでたっても上がってこないので、ものすごく暇で退屈していた。すると悲鳴が。
姐「ぎゃーーーーーーーーー!!!」
私「どうしました
大丈夫ですか?」(まさか落ちた?)
姐「メトリウスがーーーーーーーーー
」
カムを落とした模様。3本まとめて持っていたので、全部落とした模様。買ったばかりの新品のカム3本が殆ど使われることも無く、3~4峰間のルンゼに吸い込まれていった。勉強になるなぁ。かなり悲惨ではあるが、正直、なんて壮大なネタだろう、さすがやで、という気持ちが強く、気の毒そうな顔をするのが大変だった。
それでも姐さんは、気丈にも詰まっているスギさんからザックを引き剥がして先に登らせ、上から降ろしたロープにザック2個を固定。私が上から引き、ザッ
クが詰まると姐さんが下から押し上げる方法で、小一時間にも及ぶ泥臭いピッチを登りきった。ピッチグレードは5.8なんだぜ。いったいなにやってるんだぜ。
スギさん、なんで俺とおそろいのヘルメット買うたん?仲ええみたいでいややわ。
4P目は姐さんリードでさくっと登って頂上。紅葉で色づく一帯の展望は素晴らしく、これぞマルチピッチの醍醐味と感慨にふける。しかし、スギさんの感想は、”よくわかんない・・・。”これはいかんと思い、「カムを落としたところなんて、マルチならではの大笑いポイントですよ。」とよくわからない慰め方をしていたら、もう自分の笑いが止まらなくなった。
左から、カム落とした心臓毛もじゃな人、わけわかぬままチムニーに詰まった人、笑いが止まらない人
懸垂2回で取付。焚き木を拾いながらの帰り道で日が暮れた。テン場に帰るとすでに「セレクション」のメンバーで宴会が始まっており、ガッキーさんの美味い料理と、この日の出来事を肴に楽しい夜を過ごした。
2日目
天気が崩れそうなので、父岩エリアに的を絞って出発。「小川山物語5.9」は先客があったため、隣の「小川山ストリート5.9」と「タジヤン5.10a」に分かれた。皆が奥ゆかしく譲り合いをしていたので、遠慮なく「小川山ストリート」を行かせて頂く。
見たところ、25mの長めのルートながらも、垂直まで立っておらず、ホールドは豊富。出だしがちょっと悪く、1本目の緊張もあったが、3ピン目を取った辺りからリラックスして登れた。
ところが、豊富だったホールドが終了点間際で無くなり、登るイメージが描けなくなってしまった。落ち着いて深呼吸し、束の間粘ってみたものの、我慢できず強引にいってフォール。相変わらずメンタル弱ぇ・・・。頻繁にジム通いして1年半。そろそろ5.9ぐらいはオンサイトできなければ恥ずかしいというのに、なんと情けないことか。おまけに落ちた時に右膝を強打し、膝が曲がらなくなってしまい、この1本で終了。皆が順番にトップロープで登るの見ながらいじけて過ごした。
スギさんの番が回ってきたときに、「せっかくだからリードで行ったらどうです?十分行けますよ!」と声をかけたら、「じゃあ・・・やってみようかな・・・」なんて言ってくれるもんだから、こっちのテンションもあがる。相変わらず本人は何も知らんで適当に返事している気がしなくも無いが、トップロープで登ることが当たり前の空気の中で、わざわざロープを落として、リードでトライするなんて男じゃないですか。というわけで、記念すべき外岩初リードのビレイヤーを買ってでたものの、そこはほら、人間だもの。自分が落ちたルートをすんなり登られたら立場ないじゃない。でも、外で登りたいと言うスギさんを会に誘った手前、積極的に登ってくれるとうれしいし、やっぱり応援したいじゃない。天使と悪魔のせめぎ合い。結果は全く同じところでフォール。完璧な展開。彼はとてもいい人です。結局、雨が降ってきて、スギさんもこの1本だけで終わってしまったのだが、とりあえずは満足してもらえたようでよかった。
とても楽しく充実した2日間であったが、どちらかというと苦くてしょっぱい。もっと登れると思っていただけに残念。まだまだです。来年はもっと登れるように、1年間しっかり修行しよう。もっと花崗岩と仲良くなろう。